再生可能エネ王国・バイエルン

私が住んでいるドイツ南部のバイエルン州は、ITや自動車産業で知られるが、元々は農業州だった。

だが今この州は、その特性を利用して、植物や家畜の排泄物を使ったバイオガスを急速に普及させていることでも知られている。

たとえばレーゲンスブルクの
E・ONバイエルン社は、2006年度から2年間に、1000万ユーロ(15億3000万円)を投じて、6つのバイオガス生産施設を建設する。

このバイオガスによって、4mwの電力が生み出される。

あるホテルでは、敷地内にバイオガス生産設備を作り、馬の排泄物から生産したバイオガスによって、暖房を行っている。

 ドイツでは、ロシアの天然ガスへの依存度を減らすことが重要な課題となっているが、全国ガス・水力連合会の推計によると、バイエルン州は2030年にはバイオガスによって、天然ガス消費量の20%をカバーできる見通し。

バイオガスは、燃焼時にCO2を出さないので、温室効果ガス削減にも貢献する。

 海から遠いバイエルン州では、ドイツ北部ほど風が強くないので、風力発電装置のプロペラはあまり見られない。

ここで雨後の筍のように増えているのが、太陽光発電装置である。

アウグスブルクに近いメリングという町では、今年ドイツ最大規模の太陽光発電装置が設置された。

5ヘクタールの田園に設置された、2万8500個のモジュールは、太陽光を毎年200万kwの電力に変換する。

南側の屋根にモジュールを、びっしりと取り付けた農家も目立つ。

最近会ったオートバイ販売店主も、商品を保管する倉庫の屋根に、太陽光モジュールを取り付けて、発電を行っていた。

バイエルン州では、再生可能エネが、第一次エネルギー源消費量の8%を占めるが、これはドイツ全国で再生可能エネが占める比率(4%)の、2倍に相当する。

2025年には、州内の電力需要の30%を再生可能エネでまかなえるという予測もある。再生可能エネの研究には、バイエルンは絶好のモデルケースと言えそうだ。


電気新聞 2006年12月20日